PROJECT BOOKS

プロジェクト図鑑

Project 2

スマートデバイス/作業者支援システム
“EdaGlass”

保護めがねタイプのスマートグラスで指示者の声を文字で認識。
シーイーシーの作業者支援システムが聴覚障がい者の労働環境改善と研修時間短縮に大きく貢献。

xRでコミュニケーションの壁をクリア

【アイシン・エィ・ダブリュ様からの依頼内容〜聴覚に障がいのある社員とのコミュニケーション向上〜】

最大手の自動車部品メーカー、アイシン・エィ・ダブリュ株式会社様 は、「ノーマライゼーション」という考え方に基づき、障がいの有無に関係なく、職場で能力を発揮できる環境づくりを追求されています。シーイーシーはアイシン・エィ・ダブリュ様とは以前からお付き合いがあり、その中で「聴覚に障がいがある方とのコミュニケーションをより円滑にするツール、または補助する仕組みがつくれないか」という依頼をいただきました。
工場のライン内での作業では、会話を必要とするシチュエーションが少ないため、それほど困ることはないということでしたが、職制を上げるためのライン外教育において問題は顕著でした。健聴者なら月22時間で済む研修が、聴覚障がい者向けの研修では月56時間、2.5倍ほどの時間がかかっていました。
また、そのほかのシーンでも筆談での対応に限界がありコミュニケーションの向上を望まれている状況でした。

【EdaGlassの導入 〜コミュニケーションの向上を目指して〜】

聴覚障がい者とのコミュニケーションの向上には2017年から取り組まれており、すでにスマートフォンでの文字表示は行われていたので、プロジェクトチームはより実用的に活用できるとものとして、ウェアラブル製品である保護めがねタイプのスマートグラスに、指示者の声を文字表示させる自社製品のEdaGlass(エダグラス)の実証実験をご提案しました。
EdaGlassは、音声認識エンジン(Google Cloud APIを利用)を通じて話された言葉を文字に変換し、スマートフォンやスマートグラスに表示する仕組みです。ご提案後すぐの2019年8月、アイシン・エィ・ダブリュ様にEdaGlassを5台導入していただきました。

【お客様との二人三脚の活動 ~さまざまな課題を一つずつ検証~】

音声認識技術は日に日に進歩していますが、実際に活用を始めて、人によって声の認識率に差が出ること、工場などでの大きな音の出る現場での音声認識の難しさなどが課題としてあがりました。ノイズキャンセリングの技術課題などに取り組みながら、お客様にも、EdaGlass使用の際には「大きな声で」「ゆっくり」「しっかり」話すことをお勧めして、現場で試みていただいています。また、リアルタイムでスマートグラスに表示するためにはWi-Fiの速度も問題になります。さまざまな課題を解決するために、お客様と継続的にコンタクトを取り、技術向上に努めています。

【活用実証実験開始後の現在の状況 ~EdaGlassが研修理解度を補完~】

課題であったライン外教育では、月56時間かかっていた聴覚障がい者向けの研修が月33時間に減少。以前は健聴者と比べて2.5倍かかっていましたが、EdaGlassを活用したことで、1.5倍に短縮された計算です。
教育というシチュエーションでは、教材および資料が用意されているので、EdaGlassが補完的な役割を果たし、聴覚障がい者の方の理解度が進んだと思われます。

(お客様の声)
EdaGlassの活用実証実験から劇的な効果を得るまでには、まだまだ多くの検証を重ねていく必要があると思っています。そうした当社の取り組みに対し、真摯に向き合ってくれるシーイーシーの姿勢には感謝しています。先に進むことなく、遅れることもなく、常に二人三脚で進んでくれますから、実用化に向けて着実に歩んでいるのがわかります。
EdaGlassは議事録用、外国人労働者向けとしても活躍するのではないかと期待していますし、製造本部の我々としては、今後もさまざまな取り組みを通じ、少しでも現場に貢献できるような施策を提案していきたいと思っています。そのためには、シーイーシーの技術とノウハウは欠かせません。今後とも変わらないサポートを期待しています。

【 製造業におけるxR活用とシーイーシー ~多様性を活かすxR技術~】

「VR」「AR」「MR」といった技術はxR、つまりさまざまな未知数(x)の現実(Reality)を実現化する技術として注目されています。シーイーシーは、今までの障がいや言語の違いによるコミュニケーションの壁を越えていくxR技術として、EdaGlassの開発を進めています。製造業においても健常者と障がい者、または言語の違う者がその壁を越え、共に働くための技術としてxR技術は不可欠なものとなると考えています。